大人というのは
自分たちでは全く何も分かっていないから
いつも子供の方から説明してあげなきゃいけなくて
うんざりする
僕は別の仕事を選ぶ必要に迫られて
飛行機の操縦士になった
そして 世界中をあちこち飛び回った
地理は確かに役に立った
僕は一目で中国とアリゾナを見分けることができる
夜間飛行で迷った時など
そういう知識があると本当に助かる
これまでの人生で
僕はたくさんの重要人物と知り合った
ずいぶん多くの大人たちと一緒に暮らしたし
間近にも見てきた
それでも僕の考えはあまり変わらなかった
僕は物分かりの良さそうな人に出会った時には必ず
肌身離さず持ち歩いていた作品第一号を見せ
実験していた
その人が本当に物事の分かる人かどうか
知りたかったから
でも 答えはいつも同じだった
「帽子だね」
そのあと僕はボアの話も原生林の話も星の話もしなかった
話を合わせて ブリッジやゴルフや政治やネクタイの話をした
するとその大人は話が分かる相手と知り合えたと言って
喜ぶのだ