謎めいた準備は何日も続いた
そしてある朝、ぴったり日の出の時間に花は姿を現した
そして
あれほど念入りに装いを凝らしておきながら
欠伸を噛み殺してこう言った
「ああ たった今目が覚めたばっかり
ごめんなさいね
髪がぼさぼさだわ」
しかし王子さまは感動を抑えることが出来なかった
「なんて綺麗なんだ 君は」
「でしょう」
花は静かに答えた
「私はお日様と一緒に生まれたんですもの」
王子さまは花があまり謙虚ではないことに気づいたが
それでも目が眩むほど美しかった
「そろそろ朝食のお時間ね
お願いしてもよろしいかしら」
王子さまはすっかりどぎまぎしていたが
如雨露に新鮮な水を汲んできて
たっぷり花に掛けてあげた
花はすぐに気まぐれな自惚れで
王子さまを困らせるようになった
例えばある日
自分の四本の刺の話をしながらこう言った