わがままな大男 (2)オスカー・ワイルド作 結城浩訳

わがままな大男 (2)オスカー・ワイルド作 結城浩訳

2016-03-09    18'37''

主播: 静谧*

15880 362

介绍:
ベッドで目を覚ますと、 美しい音楽が聞こえてきました。 それはあまりにも耳に甘い響きでしたので、 これは王宮の楽団が通りかかったのに違いないと大男は思いました。 実は小さなベニヒワが窓の外で歌っていただけなのですが、 庭で鳥がさえずるのを大男が耳にしなくなってから あまりにも長い時間が過ぎたので、 大男の耳には鳥の声が世界で最も美しい音楽のように聞こえたのです。 やがて、霰は頭上で踊るのをやめ、北風も吠えるのをやめました、 そして、開いた窓から かぐわしい香りが大男の方にやってきました。 「やっと春が来たのに違いない」と大男は言いました。 そしてベッドから飛び起きて外を見ました。 何が見えたでしょうか。 最高に素晴らしい眺めでした。 子どもたちが、壁の小さな穴を通りぬけて入り込み、 木の枝の上に座っているのでした。 それぞれの木に小さな子どもが乗っているのが見えました。 木々は子どもたちが戻ってきたので大喜びで、 自分の体を覆い尽くすほど花を咲かせ、 子どもたちの頭の上でやさしく腕を振っておりました。 鳥たちは飛び交い、喜びにさえずり、 花は緑の草むらから頭を出して笑っておりました。 それはうるわしい情景でした。 ただ一箇所だけがまだ冬でした。 それは庭の一番向こうの角で、 そこに小さな男の子が立っていました。 その子はとても小さく、 木の枝まで届きません。 ひどく泣きながら、木のまわりをぐるぐると回っています。 かわいそうな木は、まだ霜と雪ですっかり覆われ、北風はその上を吹き荒れておりました。 「のぼって! ぼうや」とその木は言い、 枝をできるだけ曲げて下ろしました。 でも、その子は背が低くてどうしても届かないのです。 外を見ているうちに大男の心は雪が解けるように和らぎました。 「わしはなんてわがままだったんだ!」と大男は言いました。 「春がなぜここに来ようとしないのか、そのわけが今わかった。 あのかわいそうな小さな男の子を木の上に上げよう、 そして壁をたたきこわそう。 そうすればわしの庭は永遠に子どもたちの 遊び場所になるだろう」 大男は自分のしてきたことを本当に後悔したのです。 そこで大男はそっと階段を降り、 静かに正面の扉を開け、庭に入りました。 しかし大男を見ると、子どもたちは恐くなって走って逃げてしまい、 庭はまた冬に戻ってしまいました。 小さな男の子だけが走りませんでした。 目に涙がいっぱいで、大男が来るのが見えなかったからです。 大男は忍び足でその子の後ろにまわり、 抱き上げると木に乗せてあげました。 すると、木にはいっぺんに花が咲き乱れ、 鳥がやってきて歌を歌いました。 小さな男の子は、伸ばした両腕を大男の首にまわし、キスしました。 他の子どもたちも、大男がもう意地悪ではないとわかり、 走って戻ってきました。子どもたちとともに春も戻ってきました。 「この庭は、もうおまえたちのものだよ、かわいい子どもたち」 と大男は言い、大きな斧を取ると、壁をたたきこわしました。 人々が十二時に市場に行くとき、 これまで誰も見たこともないほど美しい庭で、 大男が子どもたちといっしょに遊んでいるのが見えました。 一日じゅう子どもたちは遊び、 夕方になるとみんなは大男のところにさようならを言いにやってきました。 「でも、あの小さなお友達はどこにいるんだい」と大男は尋ねました。 「わしが木に乗せてやった子は?」 キスをしてくれたから、 大男はあの子が一番好きだったのです。 「知らないよ」と子どもたちは答えました。 「いなくなっちゃったんだ」 「明日、絶対ここにくるように言ってくれないか」と大男は言いました。 しかし子どもたちは、その子がどこに住んでいるのか知らないし、 これまで一度も会ったことがないんだ、と言いました。 それで大男はとても悲しい気持ちになりました。 毎日、午後になって学校が終わると、 子どもたちはやってきて大男と遊びました。 でも、大男が一番好きだった小さな男の子は二度と現れませんでした。 大男は子どもたちみんなにとても親切でした。 しかし、 大男は自分の初めての小さな友にとても会いたいと思い、 あの子のことをたびたび口にしていました。 「あの子に会いたいものだ!」と大男はよく言っておりました。 何年もたち、大男はたいへん年老い、体も弱くなりました。 もう遊ぶことはできませんでしたから、大きな肱掛椅子に座り、 子どもたちが遊んでいるのを見、庭を楽しんでおりました。 「ここには美しい花がたくさん咲いている」大男は言いました。 「しかし、子どもたちが何よりも美しい花だ」 ある冬の朝、大男は服を着ながら窓の外を見ました。 いまでは大男は冬を憎んではいませんでした。 春は眠っており、花は休んでいるだけだ、とわかったからです。 突然、大男は驚いて目をこすり、 何度も何度も見なおしました。 それはまことに素晴らしい眺めでした。 庭の一番向こうの角に、 愛らしく白い花ですっかり包まれた木が一本ありました。 枝はすべて黄金で、銀色の果実が垂れ、 その下に、大男が愛していた小さな男の子が立っていたのです。 大きな喜びに包まれ、大男は階段を駆け降り、庭へ飛び出しました。 草むらを走り抜け、その子のそばへやって来ました。 すぐ近くまで来ると、大男は怒りで顔を赤くして言いました。 「いったい、誰がそなたに傷を負わせたのだ?」 というのは、その子の両方の手のひらには釘の跡があり、 小さな両足にも釘の跡があったからです。 「いったい、誰がそなたに傷を負わせたのだ?」と大男は叫びました。 「教えてくれ。わしは大剣でそいつを殺してやるから」 「そうではない!」その子は答えました。 「これは愛の傷なのだよ」 「あなたはどなたですか?」大男は言いました。 すると大男は、不思議な畏怖の念に襲われ、その小さな子の前にひざまずきました。 その子は大男に微笑みかけ、こう言いました。 「かつて、あなたは、この庭で私を遊ばせてくれた。 今日は、あなたが、わたしの庭へいっしょに来るのだ。わたしの庭、パラダイスへ」 その日の午後、子どもたちが走ってくると、 大男は木の下に体を横たえて死んでおり、 なきがらは白い花にすっかり覆われておりました。 一日清晨,巨人睁着双眼躺在床上,这时耳边传来阵阵美妙的音乐。音乐悦耳动听,他想一定是国王的乐师路经此地。原来窗外唱歌的不过是一只小红雀,只因巨人好长时间没听到鸟儿在花园中歌唱,此刻感到它妙不可言。这时,巨人头顶上的冰雹已不再狂舞,北风也停止了呼啸,缕缕芳香透过敞开的窗廓扑面而来。“我相信春天终于来到了,”巨人说着,从床上跳起来,朝窗外望去。 他看见了什么呢? 他看见了一幕动人的景象:孩子们爬过墙上的小洞已进了花园,正坐在树枝上,每棵树上都坐着一个孩子。迎来了孩子的树木欣喜若狂,井用鲜花把自己打扮一新,还挥动手臂轻轻抚摸孩子们的头。鸟儿们在树梢翩翩起舞,兴奋地欢唱着,花朵也纷纷从草地里伸出头来露着笑脸。这的确是一幅动人的画面。满园春色中只有一个角落仍笼罩在严冬之中,那是花园中最远的一个角落,一个小男孩正孤零零地站在那儿,因为他个头太小爬不上树,只能围着树转来转去,哭泣着不知所措。那棵可怜的树仍被霜雪裹得严严实实的,北风也对它肆意地咆哮着。“快爬上来呀,小孩子1”树儿说,并尽可能地垂下枝条,可是小孩还是太矮小了。 此情此景深深地感化了巨人的心。“我真是太自私了!”他说,“现在我明白为什么春天不肯到我这儿来了。我要把那可怜的孩子抱上树,然后再把围墙都推倒,让我的花园永远成为孩子们的游戏场所。”他真为自己过去的所做所为感到羞愧。 巨人轻轻地走下楼,悄悄地打开前门,走到花园里。但是孩子们一看巨人,都吓得逃走了,花园再次回到了冬天里。唯有那个小男孩没有跑,因为他的眼里充满了泪水,没有看见走过来的巨人。巨人悄悄来到小孩的身后,双手轻轻托起孩子放在树枝上。树儿立即怒放出朵朵鲜花,鸟儿们也飞回枝头放声欢唱,小男孩伸出双臂搂着巨人的脖子,亲吻巨人的脸。其他孩子看见巨人不再那么凶恶,都纷纷跑了回来,春天也跟着孩子们来了。“孩子们,这是你们的花园了,”巨人说。接着他提起一把大斧头,把围墙统统给砍倒了。中午12点,人们去赶集的时候,欣喜地看见巨人和孩子们一起在他们所见到的最美丽的花园中游戏玩耍。他们玩了整整一天,夜幕降临后,孩子们向巨人道晚安。 “可你们的那个小伙伴在哪儿呢?”巨人问,“就是我抱到树上的男孩。”巨人最爱那个男孩,因为男孩吻过他。