《想象电台》1.1 作者:いとうせいこう
晚上好。
或许该说早上好。
又或者是下午好。
这里是想象电台。
こういうある種アイマイな挨拶から始まるのも、この番組は昼夜を問わずあなたの想像力の中でだけオンエアされるからで、月が銀色に渋く輝く夜にそのままゴールデンタイムの放送を聴いてもいいし、道路に雪が薄く積もった朝に起きて二日前の夜中の分に、まあそんなものがあればですけど耳を傾けることも出来るし、カンカン照りの昼日中に早朝の僕の爽やかな声を再放送したって全然問題ないからなんですよ。
でもまあ、まるで時間軸がないのもしゃべりにくいんで、一応こちらの時間で言いますと、こんばんは、ただ今草木も眠る深夜二時四十六分です。いやあ、寒い。凍えるほど寒い。ていうかもう凍えてます。赤いヤッケひとつで、降ってくる雪をものともせずに。こんな夜更けに聴いてくれてる方々ありがとう。
申し遅れました。お相手はたとえ上手のおしゃべり屋、DJアーク。もともと苗字にちなんだあだ名だったんだけど、今じゃ事情あって方舟って意味の方のアークがぴったりになってきちゃってます。
その辺はまたおいおい話すとしてこの想像ラジオ、スポンサーはないし、それどころかラジオ局もスタジオもない。僕はマイクの前にいるわけでもないし、実のところしゃべってもいない。なのになんであなたの耳にこの僕の声が聴こえてるかって言えば、冒頭にお伝えした通り想像力なんですよ。あなたの想像力が電波であり、マイクであり、スタジオであり、電波塔であり、つまり僕の声そのものなんです。
事実、いかがですか、僕の声の調子は?バリトンサックスの一番低い音なみに野太い?それとも海辺の子供の悲鳴みたいに細くて高い?または和紙の表面みたいにカサカサしてたり、溶けたチョコレートなみに滑らかだったり声のキメにも色々あると思いますが、それ皆さん次第なんで一番聴き取りやすい感じにチューニングして下さい。
ただひとつ、僕の声は誰のものとも似てないはず。たとえデビューしたての新人とはいえ、そこはラジオパーソナリティの意地として譲れないところ。
てなわけでリスナー諸君、最後までどうぞよろしく。
想ー像ーラジオー。