102 村上/世界尽头与冷酷仙境2 金色兽

102 村上/世界尽头与冷酷仙境2 金色兽

2017-03-12    18'16''

主播: 千秋的布丁酱

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介绍:
世界尽头2 金色兽 音乐:「流れ行く雲」-岸部眞明    「流れ行く雲」-方悬雅 秋がやってくると、彼らの体は毛足の長い金色の体毛に覆われていることになった。それは純粋な意味での金色だった。他のどのような種類の色もそこに介在することができなかった。彼らの金色は金色として世界に生じ、金色として世界に存在した。すべての空とすべての大地のはざまにあって、彼らは混じりけのない金色に染められていた。 僕が最初にこの街にやってきた頃ーーそれは春だったーー獣たちは様々な色の短毛を身にまとっていた。それは黒であり、とびいろであり、白色であり、赤みのかかった茶であったりした。そのうちの何色かをまだらに組み合わせているものもいた。そのような思い思いの色の毛皮に包まれた獣たちは若い緑の大地の上を、風に吹き流されるかのようにひっそりとさすらっていた。彼らは瞑想的と言っていいほどにもの静かな動物だった。息遣いさえもが朝の霧のように密やかだった。彼らは緑の草を音を立てずに食み、それに飽きると足を曲げて池面に座り、短い眠りについた。 春が過ぎ、夏が終わり、光が微かな透明さを帯び始め初秋の風が川の淀みに小波を立てる頃、獣たちの姿に変化が見られるようになった。金色の体毛は最初のうちはまばらに、まるで何かの偶然によって芽ぶいた季節はずれの植物のように姿をあらわしたが、やがては無数の触手と変じて短毛を絡め取り、最後にはすべてを輝かしい黄金色で覆い尽くした。その儀式は始まってから完了するまでに一週間しかかからなかった。彼らの変身はほとんど同時に始まり、ほとんど同時に終わった。一週間ののちには彼らは一頭たりとも残さず完全な金色の獣に変貌していた。朝日がのぼり、世界を新しい黄金色に染める時、地表に秋が降りた。 彼らの額の真ん中から伸びる一本の長い角だけが、どこまでもしなやかな白色だった。その危ういまでの細さは、角というよりは何かの拍子に皮膚を突き破って外にとびでたまま固定されてしまった骨の破片を思わせた。角の白さと目の青さだけを残して、獣たちは全くの金色に変身していた。彼らはその新しい衣裳をちょっと試してみるといったように首を何度も上下に振り、角の先端で高い秋の空をついた。そして冷ややかさを増やした川の流れに足をひたし、首を伸ばして秋の赤い木の実をむさぼった。 夕闇が街並みを青く染める頃、僕は西の壁の望楼にのぼり、門番が角笛を吹いて獣たちを集める儀式を眺めたものだった。角笛は長く一度、短かく三度吹き鳴らされた。それが決まりだった。角笛の音が聞こえると僕はいつも目を閉じて、そのやわらかな音色を体の中にそっとしとみこませた。角笛の響きは他のどのような音の響きとも違っていた。それはほのかな青みを帯びた透明な魚のように暮れなずむ街路をひっそりと抜け、舗道の丸石や家々の石壁や川沿いの路に並んだ石垣をその響きで浸していった。大気の中に含まれた目に見えぬ時の断層をすり抜けるように、その音は静かに街の隅々にまで響き渡っていった。 角笛の音が街に響きわたる時、獣たちは太古の記憶に向かってその首を上げる。千頭を越える数の獣たちが一斉に、全く同じな姿勢をとって角笛の音のする方向に首を上げるのだ。あるものは大儀そうにエニシダを噛んでいたのをやめ、あるものは丸石敷きの舗道に座り込んだままひづめでこつこつと地面を叩くのをやめ、またあるものは最後の日だまりの中の午睡から醒め、それぞれに空中に首を伸ばす。 その瞬間あらゆるものが停止する。動くものといえば夕暮れの風にそよぐ彼らの金色の毛だけだ。彼らがその時にいったい何を思い何を凝視しているのかは僕にはわからない。一つの方向と角度に首を曲げ、じっと宙を見据えたまま、獣たちは身じろぎひとつしない。そして角笛の響きに耳をすませるのだ。やがて角笛の最後の余韻が淡い夕闇の中に吸い尽くされた時、彼らは立ち上がり、まるで何かを思い出したかのように一定の方向を目指してい歩き始める。束の間の呪縛は解かれ、街は獣たちのふみならす無数のひづめの音に覆われる。その音はいつも僕に地底から湧き上ってくる無数の細いあわを想像させた。そんな泡が街路をつつみ、家々の塀をよじ登り、時計塔さえをもすっぽりと覆い隠してしまうのだ。 しかしそれはただの夕暮れの幻想に過ぎない。目を開ければそんな泡はすぐに消えてしまう。それはただの獣のひつめの音であり、街はいつもと変わることのない街だ。川のように獣たちの列は曲がりくねった街路の敷石の上を流れる。誰が先頭に立つというのでもなく、誰が隊列を導くというのでもない。獣たちは目を伏せ、肩を小刻みに振りながら、その沈黙の川筋をたどっていくだけだ。それでも一頭一頭の間には目にこそ映りはしないけれど、打ち消すことのできない親密な記憶の絆がしっかりと結び合わされているように見える。   秋天一到,它们全身便披满金色的长毛。这是绝对的金色,其他任何一种色调都无法介人其中。它们的金色作为金色发生于世,存在于世。它们位于所有的天空和所有的大地之间,披一身纯正的金毛。   我最初来到这镇上时——那还是春天——兽们身上有的只是五颜六色的短毛。有黑色,有褐色,有白色,有的褐中泛红,也有的几种颜色斑斑驳驳地混在一起。如此身披颜色斑验的毛皮的兽们在嫩绿的大地上风流云散一般悄然往来不息。这是一种安静的动物,安静得近乎冥想,连呼吸都像晨雾一样悄然安然。它们无声无息地吃着青草,饱了便弯起腿蹲在地上,沉入短暂的睡眠。   而当春天逝去夏日终了,光线开始带有几分透明的初秋的风微微吹皱河面之时,兽们的形象便发生了变化。起初,金色的体毛仿佛偶然冒出嫩芽的错过节气的禾苗一般斑斑点点地出现在身上,不久便变成无数条触角连成一片短毛,最后遍体金黄,闪闪生辉。这一过程从头到尾只需一周时间,所有的兽都几乎同时开始,同时结束。只消一周时间,它们便一头不剩地摇身变为金毛兽。旭日东升,世界一派新黄——金秋由此降临大地   它们的额头正中探出一只长角,也只有这只长角全部呈柔和的白色。角非常之细,纤纤欲折。较之角,倒更令人想起由于某种偶然的机会陡然刺破皮肤支出体外面后就势固定下来的一条细骨。除去角的白色和眼睛的蓝色,兽的其他部位统统一色金黄它们试穿新衣似的上下抖动几次脖子,朝着寥廓的秋空高扬起角尖,继而把脚浸进日益发凉的河流,伸长脖颈吞食树上红色的果实。   每当夜色染蓝街头时,我便爬上西围墙角楼,眺望看门人吹响号角召集兽们的仪式。号角声为一长三短,这是定律。一听号角吹响,我就闭目合眼,将那温情脉脉的音色悄然溶入体内。号角的音响同其他任何一种音响都有所不同,它像一条略微泛青的透明鲜鱼一样静静穿过暮色苍茫的街头,将路面的鹅卵石、民舍的石壁以及与河旁路平行的石头围墙沉浸在其音响之中。音响静静地笼罩所有的街头巷尾,犹如漫进大气中肉眼看不见的时间断层。   当号角声弥漫小镇的时候,兽们便朝太古的记忆扬起脖颈——超过一千头之多的兽们以一模一样的姿势一齐朝号角声传来的方向昂首挺颈。勉为其难地咀嚼金雀草的停止咀嚼,蹲在卵石路面用蹄甲橐橐叩击地面的停止叩击,仍在最后一袭夕照中午睡未醒的睁眼醒来,分别朝空中伸长脖颈。   刹那间一切都静止不动。动的惟有晚风中拂卷的金色兽毛。我不知道此时此刻它们在思考什么凝视什么。兽们无不朝同一方向以同一角度正着脖子,目不转睛地盯视天空,全身纹丝不动侧耳行号角的鸣声,稍顷,号角最后的余韵融入淡淡的夕晖。   它们随即起身,仿佛突然想起什么,开始朝一定的方向起步前行。魔咒转瞬面逝,小镇淹没在兽们无数蹄子击出的声浪中。这声使我联想起从地层深处涌起的无数细小的水泡。水泡漫过路面,爬上家家户户的墙壁,就连钟塔也被它整个包笼起来。 但这仅仅是暮色中的幻想。一睁眼水泡即杳然逝去,有的只是兽的蹄音,小镇仍一如往常。兽们的队列如河水流过弯弯曲曲的卵石路面。没有哪一个带头,也没有哪一个领队。兽们低眉垂首,瑟瑟抖动肩头,默默向前涌动,但看上去每一头之间仍被无可消除的亲密记忆的组带紧紧相连,尽管并不显而易见。