3.【日语原文】阴兽1-3

3.【日语原文】阴兽1-3

2016-12-22    03'14''

主播: 鹿谷鹿谷鹿

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介绍:
私(わたし)は、あさましいことだけれど、仏像(ぶつぞう)を見(み)ている様(よう)な顔(かお)をして、時々(ときどき)チラチラと女(おんな)の方(ほう)へ眼(め)をやらないではいられなかった。それ程(ほど)その女(おんな)は私(わたし)の心(こころ)を惹(ひ)いたのだ。彼女(かのじょ)は青白(あおじろ)い顔(かお)をしていたが、あんなに好(この)もしい青白(あおじろ)さを私(わたし)は嘗(か)つて見(み)たことがなかった。この世(よ)に若(も)し人魚(にんぎょ)というものがあるならば、きっとあの女(おんな)のような優艶(ゆうえん)な肌(はだ)を持(も)っているに相違(あいちがい)いない。どちらかと云(い)えば昔風(むかしふう)の瓜実顔(うりざねがお)で、眉(まゆ)も鼻(はな)も口(くち)も首筋(くびすじ)も、肩(かた)も、悉(ことごと)くの線(せん)が優(ゆう)に弱々(よわよわ)しく、なよなよとしていて、よく昔(むかし)の小説家(しょうせつか)が形容(けいよう)した様(よう)な、触(ふれ)れば消(き)えて行(ゆ)くかと思(おも)われる風情(ふぜい)であった。わたしは今(いま)でも、あの時(とき)の彼女(かのじょ)のまつげの長(なが)い、夢見(ゆめみ)る様(よう)なまなざしを忘(わす)れることはできない。 どちらが初(はじ)め口(ぐち)を切(き)ったか、私(わたし)は今(いま)妙(みょう)に思(おも)い出(だ)せぬけれど、恐(おそ)らくは私(わたし)が何(なに)かのきっかけを作(つく)ったのであろう。彼女(かのじょ)と私(わたし)とはそこに並(なら)んでいた陳列品(ちんれつひん)について二言三言(にごんさんごん)口(くち)を利(き)き会(あ)ったのが縁(えん)となって、それから博物館(はくぶつかん)を一巡(いちじゅん)して、そこを出(で)て上野(うえの)の山内(さんない)を山下(やました)へ通(とお)り抜(ぬ)けるまでの長(なが)い間(あいだ)、道(みち)づれとなってポッツリポッツリと、色々(いろいろ)の事(こと)を話(はな)し合(あ)ったのである。 そうして話(はなし)をしてみると、彼女(かのじょ)の美(うつく)しさは一段(いちだん)と風情(ふぜい)を増(ま)してくるのであった。中(なか)にも彼女(かのじょ)が笑(わら)う時(とき)の、恥(は)じらい勝(か)ちな、弱々(よわよわ)しい美(うつく)しさはには、私(わたし)は何(なに)か古(ふる)めかしい油絵(あぶらえ)の聖女(せいじょ)の像(ぞう)でも見(み)ている様(よう)な、又(また)はあのモナリザの不思議(ふしぎ)な微笑(ほほえ)みを思(おも)い出(だ)す様(よう)な、一種(いっしゅ)異様(いよう)の感(かん)じにうたれないではいられなかった。彼女(かのじょ)の糸切歯(いときりば)は真白(まっしろ)で大(おお)きくて、笑(わら)う時(とき)には、唇(くちびる)の端(はし)がその糸切歯(いときりば)にかかって、謎(なぞ)の様(よう)な曲線(きょくせん)を作(つく)るのだが、右(みぎ)の頬(ほお)の青白(あおじろ)い皮膚(ひふ)の上(うえ)の大(おお)きな黒子(ほくろ)が、その曲線(きょくせん)に照応(しょうおう)して、何(なん)とも云(い)えぬ優(やさ)しく懐(なつ)かしい表情(ひょうじょう)になるのだった。 来源:文春文库 《樱庭一树编 江户川乱步杰作选 兽》 文本为录音后手打,音频时有口胡,一切以文本为准(´・ω・`)