積読について

積読について

2017-08-11    06'42''

主播: bibigon

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介绍:
「積読(つんどく)」という言葉を聴いたことがありますか?本を買うだけ買って読まずに積んだままにしておくことで、「積んでおく」と「読書」をかけた駄洒落的な合成語です。読書家なら必ず持っているものですね。「本は腐らないから」、「出会いは一期一会だから」、「今読まなくても、いつかは絶対読むから」などと自分に言い訳する頃には、すでに未読の書籍を大量に抱えているのではないでしょうか? はい、偉そうに言っているこの私も、立派な積読家の一人であると自白します。増えていく一方の積読に、一体いつになったら読めるんだろう……と途方に暮れているのは、きっとみんな同じでしょう。 一般的に積読は悪いと見られています。でも、悪いことばかりじゃなかったら?ちょっと嬉しいですよね?救われると思いますよね?今日は、積読の汚名を返上しましょう。 大量の本を持っているというイメージが強い大学教授。テレビなどでインタビューを受ける学者の背景に、ぎっしりと本が詰まった本棚が映っていることが多いですよね。ある人は、東京大学のある教授に、本の詰まった研究室の本棚について訊ねてみたことがあります。「これだけの本を全部読んでいるんですよね?」と訊ねると、教授は「それは野暮な質問だよ」と笑いました。「読みきれるか心配して本を買うのをためらうとき、君は大きな損をしている。買わない時点で読む選択肢は消えるのだし、その本に二度と出会えないかもしれない。だからとりあえず買っておく。手元にあればいつでも読めるし、本は腐ったりしないのだから」教授の語る言葉にはやはり重みと説得力がありますね。積読の多さに悩まされていた私は、その言葉に随分救われたのを覚えています。 積読を悪いと見られるのは、「買うだけ買って読まないというのはお金の浪費だ」「本当に勤勉な人間は買った本を全部読む」という考え方があるからです。しかし大学教授でも沢山の積読があると考えると、実際はそうでもない気がし始めますよね。 ここで積読のポジティブな面について少し考えてみましょう。 博報堂(はくほうどう)ケトルCEOの嶋浩一郎さんは、『なぜ本屋に行くとアイデアが生まれるのか』という本の中でこう述べています。「買った本が積まれた状況は、自分が知りたいことや欲求の鏡だと言えます。それが目に入るところにあって、日常的にざっと眺めるだけでも、相当な知的刺激になります。」 積読が多い状況は「まだ本を読んでいない」ということを示すのも確かなのですが、それは裏を返せば「多く知りたいと思っている」ことの証明でもあります。 ですから、本当に大切なのは「積読を減らす」ことではなく、むしろ「積読を活かす」ことの方です。積読を活かすベストな方法はもちろんそれを読むことですが、そうは言っても、次々と読めるならそもそも積読なんて生まれません。 そこで、積読が無意味になってしまわないためにも、上手く付き合う方法を考えないといけません。「積読コーナー」を作ることがひとつのいい方法でしょう。本棚じゃなくても枕元だとか、タンスの上だとか、場所はどこでも構いません。大切なのはなるべく目のつきやすいところに、なるべく多くの積読を配置しておくということです。目につくところに積読を置くべき理由は、脳のプライミング効果という仕組みにあるそうです。え?プライミング効果って何?自分で調べてくださいな! 目につくところに積読コーナーを作っておけば、嫌でも目に入ります。そのたびに「自分はこういうことに興味があるんだ」「こういうことを知りたいんだ」と深層心理に刻み付けることで、感覚は研(と)ぎ澄(す)まされ、新鮮なひらめきが生まれてくるでしょう。 沢山の情報や機会が溢れる日々の中、大事なチャンスは何かに埋もれて見えにくくなることもあるので、限られたチャンスの気配に敏感になり、素早く手を伸ばせることは非常に重要なことになります。そのチャンスは、積読の中に潜んでいるかもしれません。 積読はしないほうが良いと言われがちですが、最も避けるべきことは「積読を増やす」ではなく「積読を忘れる」ことなんです。一瞬で本を読み終えることができない限り、積読は読書家の証でもあります。積読を排除しようとするのではなく、上手に付き合っていきましょう。 いろいろしゃべりましたが、買った本はやはりなるべく読みましょうね。私も、今週末から頑張ろう、と!
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