怪人二十面相 鉄のわな1 (・∀・) 江戸川乱歩

怪人二十面相 鉄のわな1 (・∀・) 江戸川乱歩

2016-10-19    03'48''

主播: ヒフエ

4244 99

介绍:
 麻布の、とあるやしき町に、百メートル四方もあるような大邸宅があります。  四メートルぐらいもありそうな、高い高いコンクリート塀が、ズーッと、目もはるかにつづいています。いかめしい鉄のとびらの門をはいると、大きなソテツが、ドッカリと植うわっていて、そのしげった葉の向こうに、りっぱな玄関が見えています。  いく間ともしれぬ、広い日本建てと、黄色い化粧れんがをはりつめた、二階建ての大きな洋館とが、かぎの手にならんでいて、その裏には、公園のように、広くて美しいお庭があるのです。  これは、実業界の大立者、羽柴壮太郎氏の邸宅です。  羽柴家には、今、ひじょうな喜びと、ひじょうな恐怖とが、織りまざるようにして、おそいかかっていました。  喜びというのは、今から十年以前に家出をした、長男の壮一君が、南洋ボルネオ島から、おとうさんにおわびをするために、日本へ帰ってくることでした。  壮一君は生来の冒険児で、中学校を卒業すると、学友とふたりで、南洋の新天地に渡航し、何か壮快な事業をおこしたいと願ったのですが、父の壮太郎氏は、がんとしてそれをゆるさなかったので、とうとう、むだんで家をとびだし、小さな帆船に便乗して、南洋にわたったのでした。  それから十年間、壮一君からはまったくなんのたよりもなく、ゆくえさえわからなかったのですが、つい三ヵ月ほどまえ、とつぜん、ボルネオ島のサンダカンから手紙をよこして、やっと一人まえの男になったから、おとうさまにおわびに帰りたい、といってきたのです。  壮一君は現在では、サンダカン付近に大きなゴム植林をいとなんでいて、手紙には、そのゴム林の写真と、壮一君の最近の写真とが、同封してありました。もう三十歳です。鼻下にきどったひげをはやして、りっぱな大人になっていました。  おとうさまも、おかあさまも、妹の早苗さんも、まだ小学生の弟の壮二君も、大喜びでした。下関で船をおりて、飛行機で帰ってくるというので、その日が待ちどおしくてしかたがありません。  さて、いっぽう羽柴家をおそった、ひじょうな恐怖といいますのは、ほかならぬ「二十面相」のおそろしい予告状です。   在麻布区的一条高级住宅区的街道上,有一所漂亮的别墅。差不多有4米左右高的混凝土墙,一直延伸得很远。一进那颇有气派的铁门,眼前就是密排着的大棵的凤尾松。隔着那茂密的枝叶,看得见富丽堂皇的正门。不知从什么时候起,宽敞的日本建筑和铺满黄色装饰砖的二层褛的高大洋房,排列成钩状形。房后有宛如公园似的宽广而美丽的庭院。 这是实业界要人一一羽柴壮太郎的别墅。   羽柴家现在遇到一件可喜可贺的事和一件异常恐饰的事。   说到喜事,那是10年前离开家的长子壮一,为了向父亲赔罪,就要从南洋加里曼丹回日本来了。壮一从小喜欢冒险,中学毕业时,和一个同学打算渡海去南洋,在那个新天地里干出一番辉煌的事业来。但因为父亲壮太郎坚决反对,他擅自出走,搭乘小帆船下了甫洋。而后10年间,音信杳无,去向不明。可是,就在大约3个月前,忽然从加里曼丹的山打根寄来一封信,说他好容易长大成人了,想回来向父亲道歉。   壮一现正在山打裉附近经营一座大橡胶园。信中还寄来了那个橡胶林的照片和壮一的近照。他已经30岁了,鼻下蓄着挺神气的小胡须,成了一个体面健壮的男子汉。   父亲、母亲、妹妹早苗,还有正上小学的弟弟壮二,全都眉开眼笑。听说壮一要在下关下船,乘飞机回来,一家人都眼巴巴地盼望着这一天的到来。   另一方面,使羽柴家心惊肉跳的是收到了“二十面相”的可怕的“通知书”。