第177回:朗読|逃げだしたニンジンさん

第177回:朗読|逃げだしたニンジンさん

2020-03-26    09'23''

主播: 日本語外教中村

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介绍:
作品:『ちいさいモモちゃん』 主播:中村纪子 BGM:松田彬人 - 僕らはみんなハイカラさん 节目原稿节选:   ある日のことでした。  モモちゃんは、裏の原っぱで、プーと白いネズミのチュッチュと、おままごとをしていました。 「ちょうだいな。パンパンちょうだいな。おさんぽ、ちょうだいな。あい、どうもどうも、十えんです」  すると、お団子をつくっていた、チュッチュが、ふいにさけびました。 「ごちそうのにおいだ!」 「え、なんだって」  プーは、鼻をくんくんさせて、いいました。 「うそだあい、チュッチュのうそつき」 「ほんとだもん。ぜったい、ほんとだもん」  チュッチュは、モモちゃんの肩に、かけあがりました。そして、せいのびして、においのする方を、ながめましたが、たちまち、うれしそうな、キィキィ声をあげました。 「ほうら、あっちからくるもん、ごちそうがくるもん」 「えっ、どこに?」 「ごちそうだって!」  モモちゃんとプーは、せいのびして、チュッチュの指さした方を、よくみました。そしたらほんとに、草のあいだの細い道を、……なにが、きたと思いますか。  ジャガイモさんと、ニンジンさんと、タマネギさんが、カレー粉の袋をしょって、よちよち、やってきたのです。 「ほうら、ね、ごちそうでしょ」  チュッチュはとくいですが、プーは、がっかりして、ぴんと立っていたしっぽも、たらり、とさがってしまいました。 「なあんだ、モモちゃん、あれが、ごちそうだってさ」  そのころちょうど、ジャガイモさんたちも、モモちゃんを、みつけました。 「あっ、モモちゃんだ。モモちゃん、こんにちは。じつはいまから、モモちゃんちへ、行くとこなんですよ」 ……