「んー ダメだよ
この羊はひどい病気だ
違うのを書いて」
僕は書き直した
男の子は僕を気遣って
優しく微笑んだ
「よく見て これは羊じゃないでしょう
雄羊だよね
角があるもの」
そこで僕はまた書き直した
けれどそれも前の二つと同じように拒絶された
「この羊は年を取りすぎてるよ
僕 長生きする羊がほしいの」
我慢も限界に近づいていた
修理を始めなければと焦っていた
僕はざっと書きなぐった絵を男の子に投げ渡した
「これは羊の箱だ
君が欲しがっている羊はこの中にいるよ」
すると驚いたことにこの小さな審査員の顔が
ぱっと輝いたのだ
「ぴったりだよ
僕がほしかったのは この羊さ
ねえ この羊 草をいっぱい食べるかな」
「どうして」
「僕の所はとっても小さいから」 「大丈夫だよ 君にあげたのはとっても小さな羊だからね」
「そんなに小さくないよ
あれ 羊は寝ちゃったみたい」
こうして僕は
この小さな王子さまと知り合いになった