王子さまの顔は怒りのあまり青ざめていた
「何百万年も前から
花は刺を付けている
何百万年も前から
羊はそれでも花を食べる
どうして花がわざわざ役立たずの刺を付けるのか
考えるのは大事なことじゃないっていうの
羊と花との戦いは重要じゃないっていうの
赤ら顔の太ったおじいさんの足し算よりも
大事でも重要でもないっていうの
僕は 世界中でたった一つだけの花を知っていて
それは僕の星にしか咲いていないのに
羊がある朝
何も考えずにぱくっとその花を食べてしまっても
そんなことは重要じゃないっていうの
もしも誰かが何百万もの星の中で
たった一つの星に咲く花を愛していたら
その人は星空を見上げるだけで
幸せになれる
僕の花はあのどこかで咲いている
と思ってね
でも羊が花を食べてしまったら
それはその人にとって
星の光が全ていきなり消えてしまうってことなんだよ
それが重要じゃないっていうの」