人生で何をしたかは、どんな仕事をして、どんなものをつくったかでは決まりません。大切なのは、どれだけ人に与えたかということ。
与えるといっても、ものではないと思います。生きていくための知恵、心やすらぐ方法、新しいものの見方、こういったことをたくさん見つけ、たくさんの人にわけ与えることができたら、自分もしあわせになれると思うのです。
四十代という自分の年齢を考えると、人生のちょうど真ん中です。
真ん中まで生きてきた人間には経験があり、それを人に与えることができます。寿命までまだ半分しか生きていないのであれば、タコアえてきたものを壊し、ゼロからもっとすてきで新しいものを見つける勇気もあります。
だからまず、僕はかかわる人すべてに、何かしら与えたいと思います。自分ひとりで引き出しにしまいこむことなく、惜しみなく与えようと決めています。それが僕の年齢の、社会人としての責任だと考えているのです。
いかなる年齢でも、いかなる立場でも、与えなければ得られないのは真実です。
「会社は自分が成長するために、何をしてくれるのだろう?」
「国は社会をよくするために、何をしてくれるのだろう?」
こうしてじっと待ち、「ください」と要求ばかりしても、何一つ得られません。まず自分から与えれば、必ず何か返ってきます。
「自分には何も与えられるものなどない」と悩むことはありません。
誰でも何かしら、与えられるものは持っているはずで、まずはそれが何かを見つけましょう。
生きる知恵はわからなくても、人を笑わせ、心和ませることができるなら、それを与えましょう。すべてを素直に懸命にやり、初々しさを与えましょう。
それができるようになったら、目の前の人だけを笑わせるのか、世の中のみんなを笑わせるのか、スケールを考えましょう。与えるスケールを大きくすれば、返ってくるものも大きくなります。もしかすると、それが成長ということかもしれません。
(朗读材料源自中村日语电台)