王子さまは他の物とは似ても
似つかないその芽を見つけて
注意深く観察していた
新種のバオバブかもしれないからだ
しかしそれはすぐに伸びるのを止め
花を咲かせる準備を始めた
ふっくらと大きく
艶やかに蕾が育っていくのを見て
王子さまは
奇跡のような物が現れてくるのを感じていた
しかし花は
緑の部屋に隠れたまま
美しい装いに掛かりきりだった
慎重に色を選び
ゆっくり衣裳を纏い
花びらを一枚ずつ整える
雛罌粟のように
皺くちゃな姿を見せたくなかった
これ以上はない輝きを放つ美しい姿で
華麗に登場したかった
そう 花はとてもお洒落だった