幸福の王子(4) オスカーワイルド作 結城浩訳

幸福の王子(4) オスカーワイルド作 結城浩訳

2016-01-19    15'16''

主播: 静谧*

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介绍:
「ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん」と王子は言いました。 「私が命じたとおりにしておくれ」 そこでツバメは王子の目を取り出して、 屋根裏部屋へ飛んでいきました。 屋根に穴があいていたので、入るのは簡単でした。 ツバメは穴を通ってさっと飛び込み、部屋の中に入りました。 その若者は両手の中に顔をうずめるようにしておりましたので、 鳥の羽ばたきは聞こえませんでした。 そして若者が顔を上げると、 そこには美しいサファイアが枯れたスミレの上に乗っていたのです。 「私も世の中に認められ始めたんだ」若者は大声を出しました。 「これは誰か、熱烈なファンからのものだな。 これで芝居が完成できるぞ」若者はとても幸福そうでした。 次の日、ツバメは波止場へ行きました。 大きな船のマストの上にとまり、 水夫たちが大きな箱を船倉からロープで引きずり出すのを見ました。 箱が一つ出るたびに「よいこらせ!」と水夫たちは叫びました。 「僕はエジプトに行くんだよ!」とツバメも大声を出しましたが、誰も気にしませんでした。 月が出るとツバメは幸福の王子のところに戻りました。 「おいとまごいにやってきました」ツバメは声をあげました。 「ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん」と王子は言いました。 「もう一晩泊まってくれませんか」 「もう冬です」ツバメは答えました。 「冷たい雪がまもなくここにも降るでしょう。 エジプトでは太陽の光が緑のシュロの木に温かく注ぎ、 ワニたちは泥の中に寝そべってのんびり過ごしています。 友人たちは、バールベック寺院の中に巣を作っており、 ピンクと白のハトがそれを見て、クークーと鳴き交わしています。 王子様。僕は行かなくちゃなりません。 あなたのことは決して忘れません。 来年の春、僕はあなたがあげてしまった宝石二つの代わりに、 美しい宝石を二つ持って帰ってきます。 ルビーは赤いバラよりも赤く、 サファイアは大海のように青いものになるでしょう」 「下のほうに広場がある」と幸福の王子は言いました。 「そこに小さなマッチ売りの少女がいる。 マッチを溝に落としてしまい、全部駄目になってしまった。 お金を持って帰れなかったら、お父さんが女の子をぶつだろう。 だから女の子は泣いている。 あの子は靴も靴下もはいていないし、何も頭にかぶっていない。 私の残っている目を取り出して、あの子にやってほしい。 そうすればお父さんからぶたれないだろう」 「もう一晩、あなたのところに泊まりましょう」ツバメは言いました。 「でも、あなたの目を取り出すなんてできません。 そんなことをしたら、あなたは何も見えなくなってしまいます」 「ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん」と王子は言いました。 「私が命じたとおりにしておくれ」 そこでツバメは王子のもう片方の目を取り出して、下へ飛んでいきました。 ツバメはマッチ売りの少女のところまでさっと降りて、 宝石を手の中に滑り込ませました。 「とってもきれいなガラス玉!」その少女は言いました。 そして笑いながら走って家に帰りました。 それからツバメは王子のところに戻りました。 「あなたはもう何も見えなくなりました」とツバメは言いました。 「だから、ずっとあなたと一緒にいることにします」 「いや、小さなツバメさん」とかわいそうな王子は言いました。 「あなたはエジプトに行かなくちゃいけない」 「僕はずっとあなたと一緒にいます」ツバメは言いました。 そして王子の足元で眠りました。 次の日一日、ツバメは王子の肩に止まり、 珍しい土地で見てきたたくさんの話をしました。 ナイル川の岸沿いに長い列をなして立っていて、 くちばしで黄金の魚を捕まえる赤いトキの話。 世界と同じくらい古くからあり、 砂漠の中に住んでいて、何でも知っているスフィンクスの話。 琥珀のロザリオを手にして、ラクダの傍らをゆっくり歩く貿易商人の話。 黒檀のように黒い肌をしており、大きな水晶を崇拝している月の山の王の話。 シュロの木で眠る緑の大蛇がいて、二十人の僧侶が蜂蜜のお菓子を食べさせている話。 広く平らな葉に乗って大きな湖を渡り、蝶といつも戦争しているピグミーの話。 「可愛い小さなツバメさん」王子は言いました。 「あなたは驚くべきことを聞かせてくれた。 しかし、苦しみを受けている人々の話ほど驚くべきことはない。 度しがたい悲しみ以上に解きがたい謎はないのだ。 小さなツバメさん、町へ行っておくれ。 そしてあなたの見たものを私に教えておくれ」 ツバメはその大きな町の上を飛びまわり、 金持ちが美しい家で幸せに暮らす一方で、 乞食がその家の門の前に座っているのを見ました。 暗い路地に入っていき、ものうげに黒い道を眺めている空腹な子供たちの青白い顔を見ました。 橋の通りの下で小さな少年が二人、互いに抱き合って横になり、暖め合っていました。 「お腹がすいたよう」と二人は口にしていましたが「ここでは横になっていてはいかん」と夜警が叫び、二人は雨の中へとさまよい出ました。   燕子,燕子,小燕子,”王子说,“就照我说的话去做吧。”   因此燕子取下了王子的一只眼睛,朝学生住的阁楼飞去了。由于屋顶上有一个洞,燕子很容易进去。就这样燕子穿过洞来到屋里。年轻人双手捂着脸,没有听见燕子翅膀的扇动声,等他抬起头时,正看见那颗美丽的蓝宝石放在干枯的紫罗兰上面。   “我开始受人欣赏了,”他叫道,“这准是某个极其钦佩我的人送来的。现在我可以完成我的剧本了。”他脸上露出了幸福的笑容。   第二天燕子飞到下面的海港,他坐在一震大船的桅杆上,望着水手们用绳索把大箱子拖出船舱。随着他们嘿哟!嘿哟!”的声声号子,一个个大箱子给拖了上来。“我要去埃及了!”燕子略道,但是没有人理会他。等月亮升起后,他又飞回到快乐王子的身边。   “我是来向你道别的,”他叫着说。   “燕子,燕子,小燕子,”王子说,“你不愿再陪我过一夜吗?”   “冬天到了,”燕子回答说,“寒冷的雪就要来了。而在埃及,太阳挂在葱绿的棕搁树上,暖和极了,还有躺在泥塘中的鳄鱼懒洋洋地环顾着四周。我的朋友们正在巴尔贝克古城的神庙里建筑巢穴,那些粉红和银白色的鸽子们一边望着他们干活,一边相互倾诉着情话。亲爱的王子,我不得不离你而去了,只是我永远也不会忘记你的,明年春天我要给你带回两颗美丽的宝石,弥补你因送给别人而失掉的那西颗,红宝石会比一朵红玫瑰还红,蓝宝石也比大海更蓝。”   “在下面的广场上,”快乐王子说,“站着一个卖火柴的小女孩。她的火柴都掉在阴沟里了,它们都不能用了。如果她不带钱回家,她的父亲会打她的,她正在哭着呢。她既没穿鞋,也没有穿袜子,头上什么也没戴。请把我的另一只眼睛取下来,给她送去,这样她父亲就不会揍她了。”   “我愿意陪你再过一夜,”燕子说,“但我不能取下你的眼睛,否则你就变成个瞎子了。”   “燕子,燕子,小燕子,”王子说,“就照我说的话去做吧。”   子是他又取下了王子的另一只眼珠,带着它朝下飞去。他一下子落在小女孩的面前,把宝石悄悄地放在她的手掌心上。“一块多么美丽的玻璃呀!”小女孩高声叫着,她笑着朝家里跑去。   这时,燕子回到王子身旁。“你现在瞎了,”燕子说,“我要永远陪着你。”   “不,小燕子,”可怜的王子说,“你得到埃及去。”   “我要一直陪着你,”燕子说着就睡在了王子的脚下。   第二天他整日坐在王子的肩头上,给他讲自己在异国他乡的所见所闻和种种经历。他还给王子讲那些红色的朱鹭,它们排成长长的一行站在尼罗河的岸边,用它们的尖嘴去捕捉金鱼;还讲到司芬克斯,它的岁数跟世界一样长久,住在沙漠中,通晓世间的一切;他讲纽那些商人,跟着自己的驼队缓缓而行,手中摸着狼冶做的念珠;他讲到月亮山的国王,他皮肤黑得像乌木,崇拜一块巨大的水晶;他讲到那条睡在棕祸树上的绿色大莽蛇,要20个僧侣用蜜糖做的糕点来喂它;他又讲到那些小矮人,他们乘坐扁平的大树叶在湖泊中往来横渡,还老与蝴蝶发生战争。”   “亲爱的小燕子,”王子说,“你为我讲了好多稀奇的事情,可是更稀奇的还要算那些男男女女们所遭受的苦难。没有什么比苦难更不可思议的了。小燕子,你就到我城市的上空去飞一圈吧,告诉我你在上面都看见了些什么。”   于是燕子飞过了城市上空,看见富人们在自己漂亮的洋楼里寻欢作乐,而乞丐们却坐在大门口忍饥挨饿。他飞进阴暗的小巷,看见饥饿的孩子们露出苍白的小脸没精打采地望着昏暗的街道,就在一座桥的桥洞里面两个孩子相互搂抱着想使彼此温暖一些。“我们好饿呀!”他俩说。“你们不准躺在这儿,”看守高声叹道,两个孩子又跚蹒着朝雨中走去。