《罠の中》(八) [東野圭吾]

《罠の中》(八) [東野圭吾]

2016-06-11    04'11''

主播: 大黒

210 12

介绍:
《罠の中》(八) 原文 行雄は低い声を出した。「大学大学って気取りやがってさ、その上まだ大学院で遊ぼうってのか」 「兄さん」 「おい、それちょっと言い過ぎじゃないか」 敦司の顔も険しくなった。「それはひがみ根性ってものだぜ」 「なんだと、この野郎」 「誰かが止める暇もなかった。気がついた時には、行雄が敦司の襟首を掴んでいたのだ」 そしてそのまま床に倒れこんでいた。 「おい、何をやってるんだ?」 孝三が叫んだが、二人の耳には届いていないようだった。もつれあったまま、カーペットの上で殴り合いの喧嘩を始めたのだ。 「やめろ」 利彦が間に入り、敦司の身体を押さえこんだ。引き離されると、行雄はその場にあぐらをかいた。 「いったいどういうことなの?」 行雄の母親の喜久子が駆け寄って尋ねたが、息子はふてくされたままだった。それで利彦が喧嘩の経過を説明した。