【有文稿】日本の昔話 第三话 百姓じいさんとテング

【有文稿】日本の昔話 第三话 百姓じいさんとテング

2015-12-15    04'46''

主播: 阿衡ö

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介绍:
百姓じいさんとテング 音声 スタヂオせんむ むかしむかし、百姓(ひゃくしょう)のおじいさんが、ウマを連れて歌いながら山道を歩いていました。 ♪心楽しや ♪山坂行けば ♪ウマの鈴までこだまする ♪エーイソラ ホイホイ  すると向こうの方から、ズシンズシンと大きな足音を立てながら、大テングがやって来ました。  その大テングの鼻ときたら、おじいさんの腕ほど長くて大きく、顔ときたら、塗り立ての神社の鳥居より、まっ赤です。  大テングとおじいさんは、細い山道でぶつかりました。 「こら、じいさま。道をよけろっ!」  大きな声の大テングに、おじいさんは負けじと、 「よけろと言うたって、ここはおらが道じゃ。おまけに、おらこの通り、ウマと二人連れじゃ。お前がよけろ」 と、大テングを睨みつけます。 「ヒヒ、ヒヒーン!」  ウマもないて、おじいさんの応援です。 「このじじいめ。つべこべぬかすと、つまんで食うてしまうぞー!」 「そうかい。おらもこの年、食われて死ぬのは怖くないが、お前に食われる前に、一つ見たい物があるんじゃ」 「何じゃい、それは」 「テングは、誰でも術という物を使うそうじゃが、本当かいのう」 「ワハハハハッ。わしはこれでも、テングの頭じゃ。術ぐらい使えんでなんとする」 「そうかい。テングいう物は、どこのテングでも天まで大きゅうなれるというが、お前さまは、なれるかね」 「天まで大きゅうなる? そんな事が出来んで、どうなる」 「そうかのう。じゃあ、おらが食われる前に、ちょっくら見せてもらおうか。あの世への話の種というもんじゃ」 「よし。よう見とれっ」  そこで大テングは鼻を上に向けて、ゴォーーッと息を吸い込みました。  すると、グングングングン、大テングの背が伸びて、とうとう雲を突き抜けてしまいました。  そこでおじいさんはニヤリと笑い、いかにも感心した様に言いました。 「テング様、テング様。ようわかったから、元に戻って下され」  すると大テングは、シューッと息を吐いて、元の大きさに戻りました。 「どうじゃ、じいさま。ビックリしたろう。さあ、食うてやるか」 と、手を伸ばす大テングに、おじいさんはカラカラと笑って、 「そんな事言うても、テング様が天まで大きゅうなるのは、どこのテング様でもやる事でねえか。お前様は、さっきテングの頭と言うたが、いくら頭でも小そうなるこたぁ出来まい」 「なにっ。わしは日本一のテングじゃ。大きゅうばかりなれて、小そうはなれん、そんなケチなテングじゃないわい。見とれ。今見せてやるわ」  大テングはそう言うて、フーッと息を吐き出しました。  するとドンドン小さくなっていって、おじいさんの小指ほどになってしまいました。  そこでおじいさんは、ヒョイと大テングを手の平に乗せて、 「よう。もっと小さく、もっと小さく。そうそう」  ついに大テングは、豆粒の様に小さくなってしまいました。 「かかったな」  おじいさんは大テングをつまむと、ポイと口の中ヘ放り込んで、ゴクンと飲み込んでしまいました。  そして、 ♪そよら そよらと ♪たてがみなでて ♪吹くや春風 里までも ♪エーソラ ホイホイ  歌いながらウマを引いて、家の方へ帰って行きました。