Vol.8:噂話に深呼吸

Vol.8:噂話に深呼吸

2019-01-10    02'33''

主播: 周紫娟-Kreana

281 0

介绍:
『暮しの手帖』の編集長になりたての頃、毎日のように届く手紙がありました。 「私の好きな『暮しの手帖』ではなくなってしまった」 「どうか/昔のままの『暮しの手帖』を/返してください」  雑誌をリニューアルしたことへの抗議の手紙が、日に何通も届いたのです。すばらしい達筆でしたためられていると多少せつなくはなりますが、編集長という僕の仕事は、その声にどう向き合っていくかだと受け止めていました。  組織に属することなく、ずっと一人で仕事をしてきた僕にとって、ネガティブな意見や批判、噂や陰口はおなじみのものです。  仲良くしている人が、陰では「松浦なんてだめだ」と言っているくらい、慣れっこだし平気です。仮に、カウブックスがある中目黒界隈の半径一キロ以内に「松浦弥太郎が好きだ」という人が一〇〇人いたとしたら、「松浦弥太郎なんて大嫌いだ」という人も一〇〇人いるでしょう。  自分が矢面にたって何かするなら、賛否両論あって当然です。むしろ向かい風が強いほど、前に進んでいるように思えます。  いちばんさびしいのは、良いも悪いも、どんな声も聞こえてこない無反応、無関心。その意味で、『暮しの手帖』に来る正面きっての抗議など、うれしい便りとすら言えます。実際、就任して二年たつ今でも、抗議の手紙に返事を書くのが僕の仕事であり、勉強でもあるのです。 (朗读材料源自中村日语电台)